コラム

税理士・公認会計士 飯野明宏が執筆

会計・税務・経営のお役立ち情報

28 5月 2025

iDeCoを年金形式で受け取った場合にかかる税金と計算方法

目次 1 年金形式で受け取ると「雑所得」に 2 「公的年金等控除」が適用される 3 年金受取時の注意点 4 計画的な受け取りで節税効果を高める 5 まとめ|年金形式でも控除を活かせば税負担を抑えられる こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。 老後の生活資金を確保する手段として注目されているiDeCo(個人型確定拠出年金)。掛金拠出時には所得控除が受けられ、運用益も非課税といった税制優遇が用意されていますが、受け取り時には課税される点に注意が必要です。 この記事では、iDeCoの給付金を「年金形式」で受け取る場合にかかる税金と、その計算方法について解説します。 1 年金形式で受け取ると「雑所得」に iDeCoを年金として分割で受け取る場合、受取額は雑所得として扱われます。この雑所得は総合課税の対象となり、他の所得(たとえば公的年金や給与所得など)と合算されて課税額が決まります。 雑所得の課税対象になるという点は、年金形式の受け取りにおける注意点です。 2 「公的年金等控除」が適用される…

28 5月 2025

相続税申告、単独でする?それとも共同で?

目次 1 相続税申告書は共同で提出できる 2 単独申告を選んだ場合の4つのリスク 3 共同申告を行う場合の申告書の書き方 4 専門家のサポートでリスク回避を 5 まとめ|原則は共同申告。単独申告には慎重な判断を こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。 相続人同士の関係が複雑な場合や、申告内容に意見の相違がある場合には、申告の方法が大きな影響を与えることになります。 今回は、相続税の申告方法として「共同申告」と「単独申告」の違いと、それぞれのメリット・デメリット、特に単独申告に伴うリスクについて整理します。 1 相続税申告書は共同で提出できる 相続税の申告書は、相続人全員で1つの書類として作成・提出する「共同申告」が可能です。これは義務ではなく、任意の方式ですが、以下のようなメリットがあります。 ■相続人間で情報を共有しやすく、財産の評価や遺産分割の内容に一貫性が出る ■手続きが一本化され、申告全体の効率が高まる ■税理士費用を一本化できる可能性がある…

28 5月 2025

法人化は節税になる?個人事業主の所得税率と法人の法人税率を比較

こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。 個人で事業を営んでいる方で、事業が軌道に乗ってくると「法人成り(ほうじんなり)」、つまり会社を設立して個人事業から法人へ切り替えることを検討される方も多いのではないでしょうか。法人化を検討する大きな理由の一つに「節税」が挙げられます。 では、なぜ法人化が節税に繋がると言われるのでしょうか?それは、個人が納める「所得税」と法人が納める「法人税」では、その税率の仕組みが大きく異なるためです。 今回は、個人の所得税率と普通法人の法人税率を比較し、法人化による税負担への影響について解説します。 📌 目次 第1章|個人の所得税率は「超過累進課税制度」 第2章|法人税は比例税率が基本 第3章|どこからが節税になるライン? 第4章|法人化のその他の影響 第5章|まとめ:法人化は総合的な視点で判断を 第1章|個人の所得税率は「超過累進課税制度」 日本の所得税は、"超過累進課税制度" を採用しています。これは、所得金額が増えるほど税率が高くなる仕組みです。 課税所得金額 税率 195万円以下 5% 195万円超330万円以下 10%…

28 5月 2025

国庫補助金の圧縮記帳とは?仕組、メリット・デメリット、注意点

目次 1 圧縮記帳とは?基本の仕組み 2 圧縮記帳の対象と主な適用要件 3 圧縮記帳のメリットとデメリット 4 圧縮記帳の2方式:直接減額方式と積立金方式 5 圧縮記帳の仕訳例(数値つき) 6 適用時の注意点と否認リスク 7 圧縮記帳の適用判断:受けるべきか? 8 まとめ:制度を正しく理解して活用を こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。 設備投資などにあたり、国や自治体から補助金を受け取る機会が増えています。ありがたい制度である一方、「受け取った補助金に税金がかかるのでは?」という不安もあります。 そこで知っておきたいのが「圧縮記帳」という制度です。今回は、特に【国庫補助金】を受けた際に適用可能な圧縮記帳の制度について、仕組み・メリット・デメリット・会計処理・適用要件・実務上の注意点などを解説します。…

28 5月 2025

修繕費と資本的支出の基礎知識|税務上の判断基準

目次 1 修繕費と資本的支出の定義 2 具体的な支出例と区分の実例 3 判断が難しいケースと国税庁の判断基準 4 中古資産に対する資本的支出の取り扱い 5 税務調査でのチェックポイントと対策 6 まとめ:グレーゾーンを避けるには記録と計画が鍵 こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。 固定資産にかかる支出のうち、それが「修繕費」としてその期の経費となるのか、「資本的支出」として資産計上されるのかは、事業者にとって非常に重要な判断です。この区分によって税金の金額が変わるため、税務調査でも頻繁に確認される論点です。 本記事では、修繕費と資本的支出の違いを明確にしたうえで、判断基準、具体例、税務調査の注意点を解説します。 1 修繕費と資本的支出の定義 ● 修繕費とは…

28 5月 2025

短期前払費用の特例とは?活用する際の注意点や否認事例

目次 1 短期前払費用の特例とは? 2 特例の適用要件 3 該当する費用・該当しない費用の具体例 4 特例を使う際の注意点とリスク 5 実務での適用例と否認事例 6 まとめ:活用には専門的判断が不可欠 こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。 会社の経費処理のなかでよく出てくる「前払費用」。これは、サービスの提供を受ける前に支払った費用であり、原則として、その役務の提供期間に応じて費用配分すべきものです。 ただし、「短期前払費用の特例」という例外的な取り扱いが法人税法上に認められており、要件を満たせば、支払時に一括で損金算入できる可能性があります。この特例を適用すれば、特に適用初年度において税金面で大きな効果を得ることが期待できます。 情報元:国税庁 短期前払費用として損金算入ができる場合 1 短期前払費用の特例とは? 短期前払費用の特例とは、法人が支払った前払費用のうち、「支払日から1年以内に提供を受ける役務」に係るものについては、支払時に全額をその年度の損金に算入することが認められる制度です。…