あなたは、キツネ型の人ですか? それとも、ハリネズミ型の人ですか?
アイザリア・バーリンというオックスフォード大学の教授は中央公論社1973年ハリねずみと狐――『戦争と平和』の歴史哲学』を書いています。バーリンは、この話に基づいて人間をキツネ型とハリネズミ型に分類しています。
キツネは、たくさんのことを知っています。しかし、ハリネズミは、たった一つの大切なことだけを知っています。
キツネ型の人は、力を分散させ、幾つもの動きを起こします。あらゆる作戦で、獲物を捕らえようとする。一方、ハリネズミ型の人は、基本原理、基本概念を単純化し、これで全てを決定している。ハリネズミは、丸まって防御し、餌を探して巣を守るだけ。
科学的な思考は、ハリネズミ型です。複雑な世界について考え抜き、単純化する。本質を深く見抜く力が必要です。
偉大な企業に成長させた経営者は全員、ハリネズミ型です。
偉大になれなかった企業も、偉大になった企業も、戦略は持っていました。問題は、良い戦略かどうかです。
この戦略の立て方は単純明快。次の3つを守れば大丈夫です。決して、流行を追ったり、派手なことをしたり、未来学者に踊らされないことが肝要です。
1 自社が世界一になれる部分はどこか(逆に、世界一になれない部分はどこか。)
2 経済的原動力になる=キャッシュフローを継続的に大量に生み出す、最も効率的な方法を見抜く
3 情熱をもって取り組めるもの
1 自社が世界一になれる部分はどこか(逆に、世界一になれない部分はどこか。)について
最も重要なのは、最高になれる部分はどこかについての理解です。最高を目指すことでもありません。最高になるための戦略でもありません。
自負心で目を曇らせることなく現実を厳しく見つめ、世界一になれる部分はどこなのか? 同様に重要な点として、世界一になれない部分はどこなのかを本当に理解することが肝要です。
何十年にもわたり、ある事業に従事したからといって、それで世界一になれるわけでもなく、中核事業で世界一になり得ないのであれば、撤退も視野に入れないといけません。能力のあるなしは、さほど重要ではありません。世界一になれるなら良いのです。
2 経済的原動力になる=キャッシュフローを継続的に大量に生み出す、最も効率的な方法を見抜く
X当たり利益の最大化を考えましょう。このXはたった一つ、そしてこのXの決定が非常に重要かつ各企業ごとに異なるため、熟考が必要です。うちの事務所では、今のところX=従業員数です。
3 情熱をもって取り組めるもの
これについては触れません。
偉大になった企業は、この戦略を確立するまでに平均4年かかっています。これを確立するまでの道のりは、恐ろしく困難で、時間がかかることもあります。反復の過程が必要で、1回で終わるようなものではありません。
上述の三つに基づく問い⇨これらに基づく議論と論争⇨これらに基づく経営方針の決定→これらに基づく解剖と分析→上述の三つに基づく問い この循環を経て戦略を確立します。
次回は、『企業文化』についてです。