経営者のための本 1冊目-5 /真実に耳を傾ける社風にする/「ビジョナリーカンパニー2」

2022年9月10日
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2022年9月10日 飯野悠美子

『ビジョナリーカンパニー2』の5回目。

前回は、厳しい現実を直視し、現実に対応して、それに即していなければ、事業方式を完全に変更すべきという内容でした。

突然ですが、私は無駄な会議が大嫌いです。特に形式的なものは、税理士会や所属団体のものであってもほぼ、参加しません。学生時代、何かの書籍で世界一の戦略コンサルティング会社マッキンゼーという、おそらく世界で最も有能なビジネス志向の人たちを集結させた組織の会議について読んだからだと思います。その会社では、徹底して結果が求められます。そのため、その会議が自分にとって不要だと思ったら、出席しなくてOK、無駄だと思ったらその瞬間に部屋から出てもOKという内容でした。日本にあるのは支社ですが、日本に存在していても、こんなことができる会社があるんだ、と感動しました。小さいころから、学級会や、何も価値を生み出さないのに形だけ立派にとりおこなわれる会議に、強制的に参加させられてきました。頭がどんどん悪くなっていくのがわかりました。何の意味も見いだせなかったため、当事務所では、会議は原則ありません。時間の無駄だからです。必要があれば、必要な人がその場で集まって話し合いをします。

これは、今回のテーマ真実に耳を傾ける社風にするに直結します。衰退してしまった企業の会議は、「自分達のビジネスはなんと素晴らしいんだ!」というような調子です。衰退する企業の特徴として、カリスマ的な経営者が企業を引っ張り、社内に恐怖心を植え付けた結果、従業員が経営者の顔色をうかがうようになり、経営者の発言や考えや行動ばかりを気にして、社外の現実や、それが自社に与える影響には注意しなくなっています。

逆に偉大になった企業の会議は、経営陣全員が、現場の従業員に詰められるというものです。すなわち、会議で従業員が経営陣に会社の間違いを指摘し「この点にもっと注意すべきだ」ということが言えるようになっています。これで直接、お客様に経営陣が接していなくても、現場で起きている厳しい現実を知ることができます。当事務所では、これを丸々パクって実行していて。こう言っています。「うちの事務所は、私への意見を歓迎します。こうした方が良い、間違っているなど、思ったことを何でも言ってください。厳しい意見ほど歓迎します。」と。ただ、開業当初は、その意見も玉石混交で、実現不可能なもの、単に従業員が楽をしたいための意見等の実行しても事務所やお客様や従業員のためにならないものは、私が判別して実行に移しませんでした。今は、有能な人しか残っていませんので、ほぼ全て実行に移せるようになりました。実行まで考えて経営者に従業員が何でも言えるような組織風土にするということが最も重要です。私は、言ってくれた従業員には、とても感謝しています。当事務所では、全てのお客様対応を私がしているわけではないからです。※1

次のやりとりは、パートタイムメンバーと私のやりとりです。ハートの帯で個人情報は隠してあります。このような、めっちゃ良い意見をたくさん頂戴することで、どんどん事務所が良くなっていきます。私はフルタイムメンバーとパートタイムメンバーを区別していません。働く長さが違う、という違いだけです。一般的な、「正社員の方がパートより偉いんだ」、という感覚は、少なくとも私はありません。したがって、パートだから簡単な作業をする、という感覚で入所すると、大変なことになります。ここまでOwnershipとCommitmentのあるパートタイムメンバーが当事務所のデフォルトだからです。

今回の最後に、偉大さへの鍵は非常に明白です。

『どれほどの困難にぶつかっても、最後にはかならず勝つという確信を失ってはならない。そして同時に、それがどんなものであれ、自分がおかれている現実のなかでもっとも厳しい事実を直視しなければならない。』

次回は、本書のクライマックスである「単純明快な戦略」についてです。

 

※1税理士に会いたがるお客様

「税理士が直接対応します!」税理士事務所によくあるキャッチフレーズですね。私は開業当初から、こんなことは一言もいったことはありません。(まだ従業員を雇っていないとき、ご紹介者様から、ご紹介先へ、そのように言われたことはありますが、「おいおい、そんなこと言うなよ。俺がバカだと思われちゃう」と思った記憶があります)

税理士が直接対応する。価値あるの?と思うからです。もちろん、最終責任者は、税理士です。ただ税理士が直接対応すると、お客様は儲かるんでしょうか?お客様の会社は良くなるんでしょうか?それならいくらでも対応します。経理部があり、経理部長が公認会計士や税理士の場合のみ有効です。なぜなら、私が100%のパワーで話して、その話が通じるため、社長との協議のうえ会社での実行に移せるからです。そうでなければ、当事務所の従業員が十分な時間を使って丁寧に指導させていただいた方がよほど良いと思っています。そして、私は、事務所の仕組みづくり、高度な経営や税務に関する相談(多くは従業員経由で入ってきます)、従業員の成長を支えるのが仕事です。お客様にお会いするのは、お客様に提供する価値を最大化するために、極力限定しています。寂しがり屋なので本当は人に会いたいのですが。他方、私とディスカッションをすることでお客様に学びがあるような場合には積極的に会うようにしています。その前提は、ディスカッションする材料をお持ちのお客様ということになります。お客様に私から直接的な価値を提供できるからです。

全部自分で関与したがる税理士は、自己満足のためにやっているのだと私は理解しています。私はやりません。それで満足しないからです。

まだまだ私にしか対応できないことも多いです。経営を包括的視点で見て、お客様に厳しいことをいわなければいけない場合。M&Aしたいんだけど、この企業の価値がいくらか?(財産評価基本通達での価値ではなく、本当の企業価値)という種類の相談には私しか、いまのところ対応できません。それができるのは、私が公認会計士であり、経営学を本格的に学んだからです。また、暗号資産についても昔とった杵柄で、なんとか話は理解できるレベルなので、私が対応しています(暗号資産は技術的に相当面白いので、仕事に支障がでてしまいます。意識的に情報をシャットアウトするようにしています)。

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