法人

28 5月 2025

法人化は節税になる?個人事業主の所得税率と法人の法人税率を比較

こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。 個人で事業を営んでいる方で、事業が軌道に乗ってくると「法人成り(ほうじんなり)」、つまり会社を設立して個人事業から法人へ切り替えることを検討される方も多いのではないでしょうか。法人化を検討する大きな理由の一つに「節税」が挙げられます。 では、なぜ法人化が節税に繋がると言われるのでしょうか?それは、個人が納める「所得税」と法人が納める「法人税」では、その税率の仕組みが大きく異なるためです。 今回は、個人の所得税率と普通法人の法人税率を比較し、法人化による税負担への影響について解説します。 📌 目次 第1章|個人の所得税率は「超過累進課税制度」 第2章|法人税は比例税率が基本 第3章|どこからが節税になるライン? 第4章|法人化のその他の影響 第5章|まとめ:法人化は総合的な視点で判断を 第1章|個人の所得税率は「超過累進課税制度」 日本の所得税は、"超過累進課税制度" を採用しています。これは、所得金額が増えるほど税率が高くなる仕組みです。 課税所得金額 税率 195万円以下 5% 195万円超330万円以下 10%…

28 5月 2025

国庫補助金の圧縮記帳とは?仕組、メリット・デメリット、注意点

目次 1 圧縮記帳とは?基本の仕組み 2 圧縮記帳の対象と主な適用要件 3 圧縮記帳のメリットとデメリット 4 圧縮記帳の2方式:直接減額方式と積立金方式 5 圧縮記帳の仕訳例(数値つき) 6 適用時の注意点と否認リスク 7 圧縮記帳の適用判断:受けるべきか? 8 まとめ:制度を正しく理解して活用を こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。 設備投資などにあたり、国や自治体から補助金を受け取る機会が増えています。ありがたい制度である一方、「受け取った補助金に税金がかかるのでは?」という不安もあります。 そこで知っておきたいのが「圧縮記帳」という制度です。今回は、特に【国庫補助金】を受けた際に適用可能な圧縮記帳の制度について、仕組み・メリット・デメリット・会計処理・適用要件・実務上の注意点などを解説します。…

28 5月 2025

修繕費と資本的支出の基礎知識|税務上の判断基準

目次 1 修繕費と資本的支出の定義 2 具体的な支出例と区分の実例 3 判断が難しいケースと国税庁の判断基準 4 中古資産に対する資本的支出の取り扱い 5 税務調査でのチェックポイントと対策 6 まとめ:グレーゾーンを避けるには記録と計画が鍵 こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。 固定資産にかかる支出のうち、それが「修繕費」としてその期の経費となるのか、「資本的支出」として資産計上されるのかは、事業者にとって非常に重要な判断です。この区分によって税金の金額が変わるため、税務調査でも頻繁に確認される論点です。 本記事では、修繕費と資本的支出の違いを明確にしたうえで、判断基準、具体例、税務調査の注意点を解説します。 1 修繕費と資本的支出の定義 ● 修繕費とは…

28 5月 2025

短期前払費用の特例とは?活用する際の注意点や否認事例

目次 1 短期前払費用の特例とは? 2 特例の適用要件 3 該当する費用・該当しない費用の具体例 4 特例を使う際の注意点とリスク 5 実務での適用例と否認事例 6 まとめ:活用には専門的判断が不可欠 こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。 会社の経費処理のなかでよく出てくる「前払費用」。これは、サービスの提供を受ける前に支払った費用であり、原則として、その役務の提供期間に応じて費用配分すべきものです。 ただし、「短期前払費用の特例」という例外的な取り扱いが法人税法上に認められており、要件を満たせば、支払時に一括で損金算入できる可能性があります。この特例を適用すれば、特に適用初年度において税金面で大きな効果を得ることが期待できます。 情報元:国税庁 短期前払費用として損金算入ができる場合 1 短期前払費用の特例とは? 短期前払費用の特例とは、法人が支払った前払費用のうち、「支払日から1年以内に提供を受ける役務」に係るものについては、支払時に全額をその年度の損金に算入することが認められる制度です。…

27 5月 2025

重加算税とは?適用ケースから計算方法、デメリット

目次 1 重加算税とは?制度の概要と役割 2 どんな場合に重加算税が課されるのか? 3 重加算税の計算方法と税率 4 重加算税のもたらす深刻なデメリット 5 重加算税における「故意」の判断基準 6 重加算税の対象となった場合の対処法 こんにちは。富士市・富士宮市の税理士、飯野明宏です。今回は「重加算税」について、制度の概要から適用事例、計算方法、リスクと対処法までを実務的に解説します。 1 重加算税とは?制度の概要と役割 重加算税は、納税者が仮装や隠蔽を伴って不正な申告を行った場合に課される加算税です。意図的な不正行為への強い制裁措置として位置付けられており、税務コンプライアンスを促進する重要な役割を果たしています。 2 どんな場合に重加算税が課されるのか? 重加算税の適用には「隠蔽または仮装」が要件とされています。以下のようなケースが該当します:…

27 5月 2025

役員による使い込みに関する税金

目次 1 横領損失と損害賠償請求権は同時に計上されるのが原則 2 損害賠償を途中で免除した場合のリスク 3 過年度にわたる使い込みが発覚した場合の対応 まとめ|税務上も刑事上も重大なリスク。未然防止と早期対応を こんにちは。富士市・富士宮市の税理士、飯野明宏です。会社の資金が、役員によって私的に使い込まれる(横領・不正経費使用など)という事態は、経営に重大な損害を及ぼすだけでなく、税務上の処理にも複雑な対応を求められます。 今回は、法人税における所得計算への影響を中心に、役員の使い込みが発覚した場合の税務上の取り扱いについて解説します。 リンク 税大ジャーナル 横領等の不法行為と帰属を巡る一考察 1 横領損失と損害賠償請求権は同時に計上されるのが原則 役員による資金の不正使用が判明した場合、会社にとっては「横領損失」が発生したとされます。税務上は、原則として横領が発覚した時点で損失を損金計上します。 同時に、会社は加害者である役員に対して損害賠償請求権を取得し、損害賠償相当額を益金に計上します。これを「同時両建説」と呼び、会計処理の例は以下のとおりです。 (借方)横領損失 10,000千円 / (貸方)売掛金 10,000千円 (借方)未収入金 10,000千円 / (貸方)損害賠償金収入 10,000千円 この処理により、損金と益金が同額となるため、所得金額には影響しません。 従業員の横領について >…