目次 1 建物更生共済の相続税上の基本的な取扱い 2 ケース別の相続税課税の可否 3 満期共済金・解約返戻金を受け取った場合の所得税課税 4 まとめ:申告上の注意点 こんにちは。富士市・富士宮市の相続・税務専門、飯野明宏税理士事務所です。 JA共済が提供する「建物更生共済(通称:建更)」は、火災だけでなく、台風や地震などの自然災害による建物・家財の損害にも対応できる保障制度です。一般の火災保険と異なり、掛金の一部が積立型となっており、満期には共済金が支払われ、途中で解約した場合も解約返戻金を受け取ることができます。 この「積立部分がある」点が、相続税における課税対象になるかどうかの分岐点となります。 1 建物更生共済の相続税上の基本的な取扱い 契約者が死亡した場合、その共済契約に関する権利は「相続財産」として相続税の対象になります。評価方法は、死亡時点において契約を解約したと仮定した「解約返戻金相当額」です。 申告に際しては、JA共済に「共済契約解約返戻金相当額等証明書」の発行を依頼し、相続税申告書に添付する必要があります。 なお、建物更生共済の共済掛金は「損金算入」や「必要経費」として処理されることが多いため、相続税評価額と実際の負担額に差が生じる場合があります。また、共済期間中に火災等の事故により共済金を受け取っていた場合は、その分を考慮した評価が必要となります。 【設定】 ・20年間で総掛金800万円を支払い ・相続時の解約返戻金相当額:600万円…