【相続税評価】建物更生共済(建更)は相続財産になる?税務の取り扱い

2025年5月17日 管理人

こんにちは。富士市・富士宮市の相続・税務専門、飯野明宏税理士事務所です。

JA共済が提供する「建物更生共済(通称:建更)」は、火災だけでなく、台風や地震などの自然災害による建物・家財の損害にも対応できる保障制度です。一般の火災保険と異なり、掛金の一部が積立型となっており、満期には共済金が支払われ、途中で解約した場合も解約返戻金を受け取ることができます。

この「積立部分がある」点が、相続税における課税対象になるかどうかの分岐点となります。


1 建物更生共済の相続税上の基本的な取扱い

契約者が死亡した場合、その共済契約に関する権利は「相続財産」として相続税の対象になります。評価方法は、死亡時点において契約を解約したと仮定した「解約返戻金相当額」です。

申告に際しては、JA共済に「共済契約解約返戻金相当額等証明書」の発行を依頼し、相続税申告書に添付する必要があります。

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2 ケース別の相続税課税の可否

● パターン①:契約者=掛金負担者=建物所有者(すべて被相続人)

⇒ 相続財産となり、解約返戻金相当額が課税対象。

● パターン②:契約者=掛金負担者(相続人)、建物所有者=被相続人

⇒ 相続財産には含まれません。契約・掛金ともに相続人負担のため。

● パターン③:契約者=掛金負担者=被相続人、建物所有者=相続人

⇒ 相続財産に含まれます。契約者が被相続人であるため、解約返戻金相当額が対象。

● パターン④:契約者・建物所有者=相続人、掛金負担者=被相続人

⇒ 原則:贈与税の扱いとして、生前3年以内の掛金分を相続財産に加算。


3 満期共済金・解約返戻金を受け取った場合の所得税課税

契約者本人が満期まで契約を維持し、満期共済金を受け取った場合、または中途解約で解約返戻金を受け取った場合は「一時所得」として所得税の課税対象になります。

計算式: 一時所得 = (受取額 - 積立掛金の合計 - 特別控除額50万円)÷2

※所得税が課税されます。


4 まとめ:実態を把握し、正確な申告を

建物更生共済は積立機能があるため、保険契約とは異なる税務上の取扱いが求められます。契約形態によっては、相続財産として計上する必要があり、贈与税や所得税の検討も必要です。

少しでも不明点がある場合は、相続税に詳しい税理士へご相談されることをおすすめします。

富士市・富士宮市での相続税申告に関するご相談は、飯野明宏税理士事務所へお気軽にご連絡ください。

 

相続税の専門院

飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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