法人税

法人税に関するコラム(blog)です。

22 6月 2025

役員報酬の税務上のルール

目次 1. 役員報酬の基本と税務上の制限 2. 定期同額給与とは? 3. 事前確定届出給与とは? 4. その他の注意すべきポイント 5. まとめ:専門家への相談を こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。 今回は、会社の「顔」とも言える役員の皆さんの報酬について、法人税法上で特に気を付けていただきたいポイントを解説します。従業員への給与とは異なる、役員報酬の税務上のルールを正しく理解しましょう。 1 役員報酬の基本と税務上の制限 会社は通常、「経営者(役員)」と「従業員」で構成されます。従業員と会社が「雇用」の関係にあるのに対し、役員と会社は「委任」の関係にあります。従業員への給与は、役員と従業員の合意に基づき、会社の費用(損金)として認められます。 ところが、役員報酬には税務上の厳しい制限があります。これは、特に中小企業に多い「オーナー会社」の場合、社長自身が株主であるため、会社の業績に応じて報酬額を自由に増減させることで、利益操作が可能となり、課税の公平が損なわれる可能性があるためです。 法人税法上、役員に支給する給与のうち、以下のいずれにも該当しない金額は損金に算入されません。また、事実を隠蔽・仮装して経理したり、不相当に高額な部分の金額は損金不算入となります。 なお、役員報酬が損金不算入となった場合、法人税法上は会社の経費として認められないため、会社側では法人税等の負担が増加し、同時に役員個人では所得税・住民税が課税されるという二重課税の状態となります。このため、役員報酬の設定は慎重に行う必要があります。 【具体例】資本金1,000万円の会社で、社長が期中に月額報酬を100万円増額した場合…

04 6月 2025

決算賞与とは?損金算入の注意点とメリット・デメリット

目次 1. 決算賞与とは?通常の賞与との違いを理解しよう 2. 決算賞与の損金算入について 3. 決算賞与を出す際の重要な注意点 4. 決算賞与を出すメリット・デメリット 5. まとめ:決算賞与を成功させるために こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。 「今期は思ったより業績が良かった!従業員のみんなに還元したいし、節税もできるなら一石二鳥だ。」 このように考えて「決算賞与」の支給を検討される経営者の方もいらっしゃることでしょう。 決算賞与は、適切に処理すれば、その事業年度の損金に算入することができ、法人税等の負担を軽減する効果があります。 今回は、決算賞与の基本的な仕組みから、損金算入の要件、支給時のメリット・デメリットまで、経営者の皆さんが知っておくべきポイントを解説します。 法人税における損金について > 1 決算賞与とは?通常の賞与との違いを理解しよう…

04 6月 2025

税金が戻る?中小企業のための「欠損金の繰戻し還付」

目次 1. 欠損金の繰戻し還付とは? 2. どんな会社が使えるの?適用対象法人 3. 還付を受けるための条件 4. 還付金額の計算方法 5. 欠損金の繰戻し還付のメリット 6. 注意すべきポイント 7. 繰越控除と繰戻し還付、どちらを選ぶべきか? 8. まとめ:制度を上手に活用しよう こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。 会社の経営は浮き沈みがあるものです。前年は順調に利益が出て法人税を納めたのに、今年は残念ながら赤字になってしまった。そんな経験をされた経営者の方も多いと思います。 このような状況で中小企業が活用できる、とても有用な制度があることをご存知でしょうか。…

04 6月 2025

法人税の繰越欠損金とは?赤字を将来に活かす

目次 1. 繰越欠損金とは?基本的な仕組みを理解しよう 2. 繰越欠損金を活用するメリット 3. 繰越欠損金の適用条件 4. 繰越期間と控除限度額 5. 欠損金の繰戻しによる還付という選択肢 6. まとめ:繰越欠損金を効果的に活用するために こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。 会社を経営していると、どんなに頑張っても赤字になってしまう年度があるかもしれません。税金の計算上、その「赤字」は無駄にはなりません。法人税には、赤字を将来に活かして税金を軽減できる「繰越欠損金」という仕組みがあります。 この制度を正しく理解して活用することで、将来利益が出たときの法人税負担を軽減することが可能となります。 今回は、この繰越欠損金の基本的な仕組みから、具体的な活用方法、メリット、注意点までを、解説します。 1 繰越欠損金とは?基本的な仕組みを理解しよう 繰越欠損金の基本概念…

03 6月 2025

法人と個人で減価償却の計算方法はどう違う?

目次 1. 原則となる減価償却の計算方法が異なる場合がある 2. 減価償却費の計上が義務か任意かが異なる まとめ こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。 事業で使う建物や機械、車両などの固定資産は、時間の経過とともに価値が減っていきます。この価値の減少に合わせて、取得にかかった費用を数年間にわたって少しずつ経費として計上していく会計処理を「減価償却」といいます。 減価償却の計算は、法人税や所得税の計算にも関わる重要な処理です。この減価償却のルールには、法人と個人事業主とでいくつかの違いがあります。 今回は、減価償却における法人と個人事業主の主な違いについて、解説します。 1 原則となる減価償却の計算方法が異なる場合がある 減価償却費の計算方法にはいくつか種類がありますが、主に使われるのは「定額法」と「定率法」の2つです。 定額法とは 毎年一定の金額を減価償却費として計上する方法です。計算がシンプルで、毎年同じ額を経費にできるため、資金計画が立てやすいという特徴があります。 定率法とは 未償却残高(資産の取得価額からこれまでの減価償却累計額を差し引いた金額)に一定の割合をかけて減価償却費を計上する方法です。この方法では、資産を取得した最初の年に最も多くの減価償却費を計上でき、年々その額が減少していくという特徴があります。早期に多くの経費を計上できるため、特に事業開始初期の税負担を軽減したい場合に有利となることがあります。 情報元:国税庁 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合) 法人と個人事業主の原則的な計算方法の違い 個人事業主の場合…

02 6月 2025

合同会社のメリット・デメリット

目次 1. そもそも合同会社って何? 2. 合同会社の魅力的なメリット 3. 知っておきたいデメリット 4. 後悔しないためのチェックポイント 5. まとめ:合同会社はこんな人におすすめ こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。 会社を作ろうと思った時、「株式会社と合同会社、どっちがいいんだろう?」と悩んでいませんか? 最近よく耳にする「合同会社」ですが、実は意外と知られていないことが多いんです。今回は、合同会社の本当のところを、メリットもデメリットも解説します。 1. そもそも合同会社って何? 合同会社は、2006年に日本で始まった比較的新しい会社の形です。「日本版LLC」とも呼ばれていて、もともとはアメリカやヨーロッパで人気だった仕組みを日本に取り入れたものです。 一番の特徴は、お金を出す人と経営する人が同じということ。株式会社だと株主と経営者が別々のことが多いですが、合同会社では出資者自身が経営を行います。 Amazon、Apple Japanなど、有名な会社も合同会社です。…