相続法

18 5月 2025

【遺留分とは?】遺言があっても相続できる最低限の権利と「放棄」の注意点

【遺留分とは?】遺言があっても相続できる最低限の権利と「放棄」の注意点 こんにちは。富士市・富士宮市の飯野明宏税理士事務所です。 被相続人が自由に財産を遺せるとはいえ、相続人には生活保障の観点から「最低限の取り分」が法律で保障されています。それが「遺留分(いりゅうぶん)」という制度です。 本記事では、遺留分の基本から放棄の方法、家庭裁判所の許可、相続税や負債のリスク、未成年の扱いまでを徹底解説いたします。 📚 目次 第1章|遺留分とは? 第2章|遺留分の割合はどれくらい? 第3章|遺留分侵害額請求権とは 第4章|遺留分の放棄と相続放棄の違い 第5章|生前に遺留分を放棄する方法 第6章|相続開始後の遺留分放棄と注意点 第7章|遺留分放棄のメリット・デメリット 第8章|放棄を検討する際のチェックポイント 第9章|相続税や負債との関係にも注意 第1章|遺留分とは?〜法定相続人に認められた最低限の取り分 遺留分とは、**被相続人の財産のうち、一定の相続人に法律で保障された「最低限の相続分」**のことです。 たとえ遺言で「財産はすべて他人に渡す」と記されていても、以下の相続人は一定割合を請求する権利があります: 配偶者 子(または代襲相続人)…

18 5月 2025

【相続欠格とは?】相続人の資格を自動的に失う重大なケースと注意点

【相続欠格とは?】相続人の資格を自動的に失う重大なケースと注意点 こんにちは。富士市・富士宮市の飯野明宏税理士事務所です。 民法上「相続欠格(そうぞくけっかく)」という制度があり、一定の不正行為をした相続人は自動的に相続資格を失います。 本記事では、相続欠格の定義・対象となる行為・他制度との違い・相続税への影響まで、実務家の視点からわかりやすく解説します。 📚 目次 第1章|相続欠格とは? 第2章|相続欠格が適用される5つの行為 第3章|相続欠格の成立と手続き 第4章|相続廃除との違い 第5章|代襲相続はどうなる? 第6章|相続税の計算・基礎控除への影響 第7章|まとめ:正しい理解と早めの対策を 第1章|相続欠格とは?~不正な相続人を排除する法律制度 相続欠格とは、特定の不正・不法な行為を行った法定相続人が、法律上当然に相続資格を失う制度です。目的は、相続の秩序と公正を守ること。相続で利益を得るために不正行為をした者が、遺産を受け取ることがないようにするための措置です。 第2章|相続欠格が適用される5つの行為(欠格事由) 相続欠格が成立するのは、民法891条で定められた次の5つの行為をした場合です。 欠格事由①:被相続人などを故意に殺害・殺害未遂して刑に処せられた → 故意による場合が対象。過失による事故は含まれません。…

18 5月 2025

【相続廃除とは?】相続させたくない推定相続人を除外するための法的手続きと注意点

【相続廃除とは?】相続させたくない推定相続人を除外するための法的手続きと注意点 こんにちは。富士市・富士宮市の税理士、飯野明宏です。 「子どもに財産を相続させたくない」そんなケースでご相談を受けることがあるのが、「相続廃除(そうぞくはいじょ)」という制度です。 現在の日本の法制度では、正式な手続きなしに法定相続人の資格を奪うことはできません。 今回は、一定の場合、被相続人の意思によって法定相続人の資格を剥奪することができる「相続廃除」について、民法の規定を踏まえ、わかりやすく解説します。 📚 目次 第1章|相続廃除とは?民法に基づく正式な制度 第2章|相続廃除が認められる条件(要件) 第3章|相続廃除の方法:生前廃除と遺言廃除 第4章|相続廃除の取消し 第5章|廃除できない相続人(対象外) 第6章|代襲相続と相続税への影響 第7章|まとめ:相続廃除は慎重に、計画的に 第1章|相続廃除とは?民法に基づく正式な制度 被相続人の明確な意思に基づいて法定相続人の資格を失わせる方法が「相続廃除」です。 相続廃除とは、推定相続人(通常、子や配偶者など)が、以下のような非行を行った場合に、被相続人が家庭裁判所に申し立てることで、その相続権を失わせる制度です。 申立ての主体:被相続人自身または遺言執行者 相続欠格との違い 相続欠格と相続廃除の違い…

17 5月 2025

【もしも相続人がいなかったら?】遺産の行方と相続手続きの全体像

【もしも相続人がいなかったら?】遺産の行方と相続手続きの全体像 こんにちは。富士市・富士宮市の相続・税務専門、飯野明宏税理士事務所です。 近年、少子高齢化や未婚化の進行により、「相続人がいない」というケースが少しずつ増えています。いわゆる「おひとりさま」の増加により、亡くなられた方に法定相続人が存在しない、または全員が相続を放棄してしまうといった事例が現実に起こっています。 今回は「相続人がいない場合の遺産の行方」や「必要な手続き」、さらには「特別縁故者」「国庫帰属」「相続税の課税」など、知っておきたい重要なポイントを富士市・富士宮市の税理士がわかりやすく解説します。 📚 目次 第1章|相続人不存在とは? 第2章|相続人がいない場合の手続きと流れ 第3章|相続手続きの流れ(タイムライン) 第4章|特別縁故者とは?誰がなれる? 第5章|遺産の行方:国庫帰属とは? 第6章|生前の備えが大切です まとめ|「相続人がいない」は他人事ではない 第1章|相続人不存在とは? 相続人がいない状態を、法律上「相続人不存在」といいます。以下のような場合に該当します。 ケース①:法定相続人が誰もいない場合 法定相続人とは、配偶者・子・直系尊属(父母など)・兄弟姉妹です。これらすべてがいない、またはすでに亡くなっている場合、相続人不存在となります。 ケース②:全員が相続権を失っている場合 法定相続人がいても、「相続欠格」「相続廃除」「相続放棄」などで、全員が相続権を失っている場合も同様です。 第2章|相続人がいない場合の手続きと流れ…

17 5月 2025

【特別縁故者】相続人がいない場合の遺産は誰のもの?

【特別縁故者】相続人がいない場合の遺産は誰のもの? こんにちは。富士市・富士宮市の相続・税務専門、飯野明宏税理士事務所です。 相続人がいない場合でも、故人と特別な関係があった方が遺産を受け取れる可能性がある「特別縁故者制度」。しかし、その制度には通常の相続とは異なる数多くの手続きや税務上の注意点があります。 今回は、特別縁故者として遺産を受け取るための条件や手続き、相続税の計算方法や注意点まで、専門家の視点で分かりやすくご紹介します。 📚 目次 第1章|特別縁故者とは?~相続人がいない場合の救済制度~ 第2章|特別縁故者が遺産を受け取るまでの5ステップ 第3章|特別縁故者が負担する相続税とは? 第4章|相続税の計算方法と具体例 第5章|まとめ:特別縁故者制度は“特別”だからこそ要注意! 第1章|特別縁故者とは?~相続人がいない場合の救済制度~ 特別縁故者とは、法定相続人がいない場合に、家庭裁判所の審判を経て遺産を受け取る可能性がある人物のことです。 1-1. 特別縁故者の定義と位置づけ 特別縁故者とは、故人と特別な関係性がある個人または法人を指します。具体的には: 被相続人と生計を同じくしていた者 療養看護に努めた者 その他特別の縁故があった者 リンク 家庭裁判所「特別縁故者に対する相続財産分与」…