相続法

19 5月 2025

【特別受益の持ち戻し免除とは?】相続トラブルを防ぐための知識と注意点

【特別受益の持ち戻し免除とは?】相続トラブルを防ぐための知識と注意点 こんにちは。富士市・富士宮市の飯野明宏税理士事務所です。 相続が発生した際、被相続人が生前に特定の相続人へ財産を贈与していた場合、それは「特別受益」として相続財産に加えて計算されるのが原則です。しかし、被相続人が「その贈与分は相続財産に含めなくてよい」と意思表示していた場合は、この“持ち戻し”を免除することができます。 今回はこの「特別受益の持ち戻し免除」について、制度の概要、注意点、実務上の対策をわかりやすく解説します。 📚 目次 第1章|特別受益とは?~公平な遺産分割のための制度~ 第2章|持ち戻し免除とは? 第3章|持ち戻し免除が認められる3つのケース 第4章|持ち戻し免除の注意点 第5章|トラブルを避けるための生前対策 第1章|特別受益とは?~公平な遺産分割のための制度~ 相続人の一部が、被相続人から住宅取得資金や結婚資金などの多額の贈与を受けていた場合、それは**「特別受益」**とされ、相続時に相続財産へ持ち戻して計算するのが原則です。 この制度は、すべての相続人が公平に相続できるようにするために設けられています。 https://iinotax.com/blog/7894/ 第2章|持ち戻し免除とは? 持ち戻し免除とは、被相続人が「贈与分を相続財産に加えないでよい」と意思表示した場合に、特別受益を遺産分割の対象から除外できる制度です。 これは相続人間の公平よりも、「被相続人の意思」を重視する制度であり、特定の相続人を優遇したいという思いを反映できます。 第3章|持ち戻し免除が認められる3つのケース 1.…

19 5月 2025

【特別受益とは?】相続トラブルを防ぐために知っておきたいポイントを解説

【特別受益とは?】相続トラブルを防ぐために知っておきたいポイントを解説 こんにちは。富士市・富士宮市の飯野明宏税理士事務所です。 相続の現場では、被相続人から「生前に家を建ててもらった」「結婚資金を援助してもらった」など、特定の相続人だけが利益を得ていたというケースがあります。これが「特別受益」の問題です。 特別受益を正しく理解しておかないと、遺産分割協議が不公平になり、相続トラブル(争族)に発展する恐れもあります。本記事では、特別受益の基礎知識から計算方法、トラブル防止の対策まで、実務経験に基づいて分かりやすく解説します。 📚 目次 第1章|特別受益とは?その意味と重要性 第2章|どんなものが特別受益になる? 第3章|特別受益があるときの相続分の計算方法 第4章|遺留分との関係と持ち戻し免除 第1章|特別受益とは?その意味と重要性 特別受益とは、法定相続人の中で、被相続人から遺言や生前贈与により「特別な利益」を受けた人がいる場合に、その利益を公平な相続に反映させるための制度です。 例えば、長男だけが住宅購入資金1,000万円を生前に受け取っていた場合、それを考慮せずに相続すると、他の相続人から「不公平だ」と感じられてしまいます。そこで、その1,000万円を一度遺産に「持ち戻す」ことで、相続分を調整します。特別受益は相続税の対象ではないため、この持ち戻しは相続税に影響を与えることは、基本的にありません。あくまで、公平な相続分を計算するための概念です。 第2章|どんなものが特別受益になる? 以下のような贈与や遺贈が、特別受益に該当する可能性があります。 特別受益となるケース 遺言による相続人への財産の贈与(遺贈) 婚姻・養子縁組のための多額の持参金や支度金 住宅購入資金の援助 事業資金の援助(農地・株式等)…

19 5月 2025

知らぬ間に借金も引き継ぐ!?相続で怖い「法定単純承認」の落とし穴に注意!

知らぬ間に借金も引き継ぐ!?相続で怖い「法定単純承認」の落とし穴に注意! こんにちは。富士市・富士宮市の飯野明宏税理士事務所です。 相続といえば、「財産を受け取る」というイメージをお持ちの方が多いかもしれません。しかし実際には、借金などのマイナスの財産も相続の対象になります。 特に注意したいのが、「知らぬ間に借金も引き継いでしまう」法定単純承認の制度です。今回はこの落とし穴について詳しく解説します。 第1章|相続人が選べる3つの方法 相続が発生すると、相続人には以下の3つの選択肢があります。 単純承認:プラスの財産もマイナスの財産も全て引き継ぐ(特別な手続き不要。放置=単純承認)。 限定承認:プラスの財産の範囲内で借金を引き継ぐ。家庭裁判所に申述が必要。 相続放棄:最初から相続人ではなかったものとみなされる。借金も相続しない。 第2章|法定単純承認とは?うっかり相続にご用心! 「相続放棄しようと思っていたのに、知らないうちに相続していた!?」 それが法定単純承認の怖いところです。 次のような行為を行った場合、相続放棄や限定承認をする意思がなくても自動的に「単純承認した」とみなされると定めています。 法定単純承認となる3つの行為 相続財産の全部または一部を処分したとき(保存行為を除く) 相続開始から3ヶ月以内に放棄・限定承認の申述をしなかったとき 放棄・限定承認後でも、相続財産を隠したり消費したりしたとき 第3章|「処分行為」と「保存行為」の違いとは? ✅ 処分行為とは?…

18 5月 2025

【遺留分とは?】遺言があっても相続できる最低限の権利と「放棄」の注意点

【遺留分とは?】遺言があっても相続できる最低限の権利と「放棄」の注意点 こんにちは。富士市・富士宮市の飯野明宏税理士事務所です。 被相続人が自由に財産を遺せるとはいえ、相続人には生活保障の観点から「最低限の取り分」が法律で保障されています。それが「遺留分(いりゅうぶん)」という制度です。 本記事では、遺留分の基本から放棄の方法、家庭裁判所の許可、相続税や負債のリスク、未成年の扱いまでを徹底解説いたします。 📚 目次 第1章|遺留分とは? 第2章|遺留分の割合はどれくらい? 第3章|遺留分侵害額請求権とは 第4章|遺留分の放棄と相続放棄の違い 第5章|生前に遺留分を放棄する方法 第6章|相続開始後の遺留分放棄と注意点 第7章|遺留分放棄のメリット・デメリット 第8章|放棄を検討する際のチェックポイント 第9章|相続税や負債との関係にも注意 第1章|遺留分とは?〜法定相続人に認められた最低限の取り分 遺留分とは、**被相続人の財産のうち、一定の相続人に法律で保障された「最低限の相続分」**のことです。 たとえ遺言で「財産はすべて他人に渡す」と記されていても、以下の相続人は一定割合を請求する権利があります: 配偶者 子(または代襲相続人)…

18 5月 2025

【相続欠格とは?】相続人の資格を自動的に失う重大なケースと注意点

【相続欠格とは?】相続人の資格を自動的に失う重大なケースと注意点 こんにちは。富士市・富士宮市の飯野明宏税理士事務所です。 民法上「相続欠格(そうぞくけっかく)」という制度があり、一定の不正行為をした相続人は自動的に相続資格を失います。 本記事では、相続欠格の定義・対象となる行為・他制度との違い・相続税への影響まで、実務家の視点からわかりやすく解説します。 📚 目次 第1章|相続欠格とは? 第2章|相続欠格が適用される5つの行為 第3章|相続欠格の成立と手続き 第4章|相続廃除との違い 第5章|代襲相続はどうなる? 第6章|相続税の計算・基礎控除への影響 第7章|まとめ:正しい理解と早めの対策を 第1章|相続欠格とは?~不正な相続人を排除する法律制度 相続欠格とは、特定の不正・不法な行為を行った法定相続人が、法律上当然に相続資格を失う制度です。目的は、相続の秩序と公正を守ること。相続で利益を得るために不正行為をした者が、遺産を受け取ることがないようにするための措置です。 第2章|相続欠格が適用される5つの行為(欠格事由) 相続欠格が成立するのは、民法891条で定められた次の5つの行為をした場合です。 欠格事由①:被相続人などを故意に殺害・殺害未遂して刑に処せられた → 故意による場合が対象。過失による事故は含まれません。…

18 5月 2025

【相続廃除とは?】相続させたくない推定相続人を除外するための法的手続きと注意点

【相続廃除とは?】相続させたくない推定相続人を除外するための法的手続きと注意点 こんにちは。富士市・富士宮市の税理士、飯野明宏です。 「子どもに財産を相続させたくない」そんなケースでご相談を受けることがあるのが、「相続廃除(そうぞくはいじょ)」という制度です。 現在の日本の法制度では、正式な手続きなしに法定相続人の資格を奪うことはできません。 今回は、一定の場合、被相続人の意思によって法定相続人の資格を剥奪することができる「相続廃除」について、民法の規定を踏まえ、わかりやすく解説します。 📚 目次 第1章|相続廃除とは?民法に基づく正式な制度 第2章|相続廃除が認められる条件(要件) 第3章|相続廃除の方法:生前廃除と遺言廃除 第4章|相続廃除の取消し 第5章|廃除できない相続人(対象外) 第6章|代襲相続と相続税への影響 第7章|まとめ:相続廃除は慎重に、計画的に 第1章|相続廃除とは?民法に基づく正式な制度 被相続人の明確な意思に基づいて法定相続人の資格を失わせる方法が「相続廃除」です。 相続廃除とは、推定相続人(通常、子や配偶者など)が、以下のような非行を行った場合に、被相続人が家庭裁判所に申し立てることで、その相続権を失わせる制度です。 申立ての主体:被相続人自身または遺言執行者 相続欠格との違い 相続欠格と相続廃除の違い…