税理士飯野明宏

税理士飯野明宏の執筆したコラム(blog)です。

14 5月 2025

後継者に安心して引き継ぐために|事業を「磨き上げる」実践ガイド

目次 1 本業の競争力を強化する 2 経営体制の総点検と社内整備 3 財務体質の強化と再生への対応 4「磨き上げ」は専門家と一緒に進める まとめ 後継者に“引き継ぎたくなる”会社に はじめに “見える化”の次は「磨き上げ」 事業承継におけるステップ2で、自社の経営状況や課題が明確になったら、次は「ステップ3」=磨き上げ(経営改善)です。 このステップは、後継者が安心してバトンを受け取るための経営状態の強化を目的とします。強みをさらに伸ばし、弱点を補い、しなやかで持続可能な経営体制を整えることが求められます。 1 本業の競争力を強化する 自社の「強み」を伸ばし、「弱み」を改善する ■人気商品やシェアの高いサービスの強化 ■技術や品質の向上 ■人材の育成・採用による組織力強化 ■取引先や業種の偏りを見直し、リスクを分散…

14 5月 2025

事業承継の第一歩|自社を「見える化」する重要性と方法

目次 1 なぜ「見える化」が事業承継に必要なのか? 2 見える化①:会社の経営状況を可視化する 3 見える化②:事業承継固有の課題を明らかにする まとめ 見える化は事業承継の土台 はじめに 事業承継は「見える化」から始まる 事業承継を成功させるためには、まず何よりも自社の現状を正確に把握すること=見える化が不可欠です。これは「ガイドラインにおけるステップ2」にあたり、承継の基礎となる重要なプロセスです。 自社を見える化する目的は、経営者自身が現状を理解するだけでなく、後継者や関係者に情報を開示し、共通認識を形成することにもあります。情報の開示は正直かつ標準化されている必要があり、信頼のもとで承継が進む土壌を作ります。 1 なぜ「見える化」が事業承継に必要なのか? 事業承継は、多くの「見えにくい問題」を含んでいます。 ■財務や資産の全体像が不明確 ■経営資源の強み・弱みが曖昧 ■後継者候補や関係者との認識のずれ こうした曖昧さを解消し、“共通の土台”の上で承継プロセスを進めることが「見える化」の狙いです。…

14 5月 2025

図解】事業承継の進め方:ガイドラインが示す5つのステップ

目次 1 ステップ1:事業承継の必要性を認識する 2 ステップ2:経営状況と課題の“見える化” 3 ステップ3:事業の“磨き上げ”と改善活動 4 ステップ4:承継計画の策定またはM&A準備 5 ステップ5:事業承継・M&Aの実行とその後 まとめ 事業承継の5ステップで未来を切り開く はじめに|事業承継は“経営の総合リレー” 事業承継とは、単に「経営者が代わる」ことではありません。現経営者が長年にわたり築いてきた「人」「モノ」「カネ」「情報」「信用」といった経営資源のすべてを次世代に託すプロセスです。 「何から始めればいいのか分からない」と不安を抱える経営者も多いですが、国が示す『事業承継ガイドライン』には、承継の準備から実行までの5つのステップが明確に示されています。 1 ステップ1:事業承継の必要性を認識する なぜ準備が必要か? 多くの経営者が「家族の問題」として外部に相談せずに抱え込み、結果的に後継者育成の機会を失っています。しかし、事業承継には時間がかかるため、60歳を目安に準備を始めるのが理想とされています。…

14 5月 2025

中小企業経営者必見!なぜ今、事業承継が必要なのか?

目次 1 事業承継は中小企業の命綱 2 迫る2025年、団塊世代の引退と高齢化の現実 3 黒字でも廃業?中小企業の実態と損失 4 事業承継は「成長」のチャンスでもある 5 60歳が分岐点。事業承継の準備スケジュール 6 まとめ:事業承継は未来へのバトン 1 事業承継は中小企業の命綱 中小企業・小規模事業者は、日本経済の屋台骨。地域雇用の担い手であり、独自の技術やノウハウを有する企業も多く存在します。そんな企業の将来を左右するのが「事業承継」です。 しかし、「準備不足」「相談先がわからない」「後継者がいない」などの理由で、廃業に追い込まれるケースが後を絶ちません。これは単なる社長交代ではなく、企業の命運を決める重要な経営課題です。 2 迫る2025年、団塊世代の引退と高齢化の現実 2025年には、団塊の世代すべてが75歳以上に達します。これは、経営者の高齢化が加速していることを意味します。…

14 5月 2025

退職金はいくら税金がかかる?

目次 1 生前に受け取る退職金の税金とは? 2 例外、1/2計算の適用がないケース 3 退職金の確定申告は必要? 4 死亡退職金の課税と非課税枠 おわりに はじめに 退職金は、長年の努力と貢献に対する報酬であり、老後の生活資金として重要な位置を占めます。そのため、税務上の取り扱いについて正しく理解しておくことが、資金計画を立てるうえで非常に重要です。 今回は、生前に受け取る退職金と死亡退職金にかかる税金の違いや、優遇されている税制の仕組み、申告の必要性、そして将来的な税制改正の見通しについて解説します。 1 生前に受け取る退職金の税金とは? 1-1. 所得税と住民税の課税 退職金には所得税と住民税が課税されます。ただし、給与所得とは異なり、優遇措置が多く設けられています。 課税方法は以下の通りです: ■退職所得控除の適用…

14 5月 2025

相続した不動産を売却!「取得費加算の特例」で税負担を軽減

目次 1. 取得費加算の特例とは? 2. 特例を受けるための3つの要件 3. 加算できる相続税額の計算方法(概要) 4. 特例活用時の注意点 5. 併用できる特例・できない特例 6. 特例が使えない代表的なケース 7. まとめ:早めの準備と専門家のサポートがカギ こんにちは。富士市・富士宮市で相続に強い税理士の飯野明宏です。相続によって取得した不動産を売却する際に、「思ったより税金がかかる」と驚かれる方も少なくありません。そんなときに知っておきたいのが「取得費加算の特例」です。 今回は、この特例の概要から具体的な適用要件、注意点まで、解説します。 1 取得費加算の特例とは? 取得費加算の特例とは、相続や遺贈によって取得した不動産等を相続税の申告期限の翌日から3年以内に売却した場合に、納めた相続税の一部を譲渡所得の「取得費」に加算できる制度です。…