税金

税金に関するコラム(blog)です。

20 5月 2025

特別寄与料とは?相続税の課税関係と注意点

特別寄与料とは?相続税の課税関係と注意点 こんにちは。富士市・富士宮市の飯野明宏税理士事務所です。 今回は、令和元年の民法改正により新設された「特別寄与料」と、その支払いに伴う相続税の課税関係について詳しく解説します。 📚 目次 第1章|そもそも「特別寄与料」とは? 第2章|特別寄与料と相続税の課税関係 第3章|課税時期と申告期限の注意点 第4章|まとめ 第1章|そもそも「特別寄与料」とは? 被相続人の介護や看護など、無償で長年にわたって尽力した親族がいた場合、その労務提供に見合う財産的な対価を「特別寄与料」として請求できる制度が、令和元年7月1日より施行されました。 これにより、相続人でない親族(例:長男の妻など)であっても、相続において金銭請求ができるようになった点が大きなポイントです。 特別寄与料が認められる要件 被相続人の親族であること(民法第1050条) 被相続人に対して、無償で療養看護その他の労務提供を行っていたこと 相続人との間で協議が成立するか、家庭裁判所の審判で認定されること 第2章|特別寄与料と相続税の課税関係 特別寄与料は「遺贈」とみなされる 特別寄与者が相続人から金銭を受け取る場合、その金額は「遺贈により取得したもの」として扱われます(相法4条2号)。したがって、相続税の課税対象となります。 ただし、以下のように税務上の取り扱いには独自の論点があります。…

20 5月 2025

被相続人の準確定申告の還付金 相続税の取り扱いと注意点

被相続人の準確定申告の還付金 相続税の取り扱いと注意点 こんにちは。富士市・富士宮市の飯野明宏税理士事務所です。 相続が発生すると、被相続人が亡くなった年の所得について「準確定申告」を行う必要があります。準確定申告の結果、すでに支払っていた税金の一部が還付金として戻ってくることがありますが、そのとき気になるのが相続税との関係です。 今回は、準確定申告によって戻ってきた還付金や還付加算金(利息部分)が、相続税の対象になるのかどうかを分かりやすく解説いたします。 📚 目次 第1章|準確定申告とは?まずは基本を確認 第2章|還付金と還付加算金の違いとは? 第3章|還付金は相続財産になる! 第4章|還付加算金は相続税の対象外!でも所得税がかかる 第1章|準確定申告とは?まずは基本を確認 被相続人が死亡した年の1月1日から死亡日までの所得について、相続人が代わりに申告する手続きが「準確定申告」です。 申告期限:相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内 提出先:被相続人の納税地を所轄する税務署 この準確定申告によって、過払いとなっていた所得税が還付されることがあります。 https://iinotax.com/blog/7873/ 第2章|還付金と還付加算金の違いとは? 還付に関連するお金は、大きく2つに分かれます。 還付金と還付加算金の税務上の取扱い 種類…

20 5月 2025

弔慰金に相続税はかかる?非課税の範囲・税金計算をわかりやすく解説

弔慰金に相続税はかかる?非課税の範囲・税金計算をわかりやすく解説 📚 目次 第1章|そもそも「弔慰金」とは? 第2章|弔慰金は相続税の対象?原則は「非課税」 第3章|非課税枠には上限あり!限度額を超えると課税の可能性 第4章|非課税枠を超えた場合の「死亡退職金」としての取り扱い 第5章|申告方法と手続き 第7章|まとめ:弔慰金は非課税が原則、でも高額なら要注意 第1章|そもそも「弔慰金」とは? 弔慰金は、企業等が従業員や役員の死亡時に遺族に支給する金銭です。香典とは異なり、福利厚生の一環として支給されるもので、支給額は会社規程や勤続年数などによって異なります。 第2章|弔慰金は相続税の対象?原則は「非課税」 リンク 国税庁 弔慰金を受け取ったときの取扱い 弔慰金は、故人の遺産ではなく「遺族固有の権利」として受け取るものであるため、原則として相続税は課税されません。相続財産にも遺産分割協議の対象にもなりません。 第3章|非課税枠には上限あり!限度額を超えると課税の可能性 非課税とされる弔慰金にも上限があります。これを超えると、超過部分が「死亡退職金」とみなされ、相続税の課税対象になります。 業務外の死亡:普通給与の6か月分まで非課税 業務上の死亡:普通給与の3年分まで非課税 第4章|非課税枠を超えた場合の「死亡退職金」としての取り扱い 超過部分は「みなし相続財産」として相続税が課税されます。ただし、別途以下の非課税枠も適用可能です。…

20 5月 2025

未支給年金にかかる税金を徹底解説!相続税?所得税?ケース別解説

未支給年金にかかる税金を徹底解説!相続税?所得税?ケース別解説 こんにちは。富士市・富士宮市の飯野明宏税理士事務所です。 相続の手続きの中でよくいただくご質問のひとつに、「未支給年金に税金はかかるのか?」というものがあります。故人が亡くなった後でも、受け取れるはずだった年金(未支給年金)は遺族が受け取れる制度ですが、その課税関係は年金の種類によって異なります。 今回は、「未支給年金」の基本から、公的年金と私的年金の違い、所得税や相続税の扱い方まで、ケース別にわかりやすく解説します。 📚 目次 第1章|未支給年金とは? 第2章|公的年金の未支給年金は所得税の対象 第3章|企業年金の未支給年金は相続税の対象にも 第4章|相続放棄していても受け取れる?注意点とは 第5章|遺族年金とは別物!混同に注意 第6章|まとめ:未支給年金の課税は専門家へ相談を 第1章|未支給年金とは? 未支給年金とは、年金受給者が亡くなった後、本来支給されるはずだったが未受給のまま残った年金のことを指します。遺族が所定の手続きを取ることで受け取ることが可能です。 ただし、この未支給年金はすべて「相続財産」として相続税がかかるわけではありません。ここが重要なポイントです。 第2章|公的年金の未支給年金は所得税の対象 国民年金・厚生年金などの公的年金については、未支給分は「遺族固有の権利」とされ、相続税の課税対象にはなりません。 代わりに、受け取った遺族の「一時所得」として所得税・住民税の対象になります。 所得税の計算方法 一時所得…

20 5月 2025

停止条件付遺贈とは?相続税申告での取扱いと注意点

停止条件付遺贈とは?相続税申告での取扱いと注意点 こんにちは。富士市・富士宮市の飯野明宏税理士事務所です。 「孫が大学に進学したら不動産をあげたい」「特定の条件が満たされたら財産を渡したい」 このような願いを遺言に込めることができるのが「停止条件付遺贈」です。この記事では、停止条件付遺贈の仕組みと、相続税の申告・計算上の注意点をわかりやすく解説します。 📚 目次 第1章|停止条件付遺贈とは? 第2章|相続税の申告はどうする? 第3章|条件が成就したらどうする? 第4章|受遺者が条件成就前に亡くなった場合 第5章|実務上の注意点 第6章|まとめ:専門家への相談が不可欠 第1章|停止条件付遺贈とは? 遺贈とは、遺言によって財産を譲ることをいいます。相続と違い、受遺者(もらう人)は相続人でなくても構いません。中でも「停止条件付遺贈」とは、「ある条件が成就した場合に限って財産を譲る」という遺贈の形です。 【具体例】 父が娘に「結婚を条件に住宅を遺贈する」という遺言を残して亡くなった。 このように、条件が満たされるまで遺贈の効力は発生しません。これが「停止条件付遺贈」です。 第2章|相続税の申告はどうする? 相続税の申告期限は「相続開始から10ヶ月以内」と定められています。しかし、停止条件付遺贈ではその時点で「遺贈が実現するかどうか」がまだ不確定なため、特別な取扱いが必要になります。 【基本の考え方】…

20 5月 2025

胎児にも相続権がある?

胎児にも相続権がある? こんにちは。富士市・富士宮市の税理士飯野明宏です。 「まだ生まれていない子ども=胎児には相続権があるのか?」 胎児にも相続人としての権利が認められるケースがあります。本記事では、胎児の相続権について、実務上の注意点や税務処理も交えながらわかりやすく解説します。 📚 目次 第1章|胎児の相続権とは?民法第886条の規定 第2章|胎児がいる場合の遺産分割と実務上の注意点 第3章|胎児と相続税申告|申告期限と基礎控除の関係 第4章|胎児が代襲相続人になることもある 第5章|まとめ|胎児の相続は“出生”がカギ。正確な判断と慎重な対応を   第1章|民法第886条が定める胎児の相続権とは? 民法には以下のように定められています。 第一項:胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。第二項:前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。 胎児は生まれた場合に限り、相続開始時に「既に生まれていた」とみなされて、相続人として取り扱われます。出生が条件となるため、「停止条件付き相続権」とも呼ばれます。 第2章|胎児がいる場合の遺産分割と実務上の注意点 胎児が相続人になる場合、遺産分割や名義変更の実務にも配慮が必要です。 ✅ 出生前に遺産分割はできない…