相続法

28 5月 2025

遺産分割後に財産・債務がみつかった場合

目次 1 はじめに 2 遺産分割後に土地が見つかった場合 3 遺産分割後に現金が見つかった場合 4 遺産分割後に借金が見つかった場合 5 遺産分割協議のやり直しはできる? 6 相続税の申告と時効 7 後日のトラブルを防ぐために 8 まとめ 1 はじめに 遺産分割協議を終えて、相続人全員が納得したはずなのに、後から新たな財産や借金が見つかることは決して珍しくありません。思わぬものが見つかった場合、どう対処すれば良いのでしょうか?…

20 5月 2025

特別寄与料とは?相続税の課税関係と注意点

目次 1 そもそも「特別寄与料」とは? 2 特別寄与料と相続税の課税関係 3 課税時期と申告期限の注意点 4 まとめ こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 今回は、令和元年の民法改正により新設された「特別寄与料」と、その支払いに伴う相続税の課税関係について詳しく解説します。   1 そもそも「特別寄与料」とは? 被相続人の介護や看護など、無償で長年にわたって尽力した親族がいた場合、その労務提供に見合う財産的な対価を「特別寄与料」として請求できる制度が、令和元年7月1日より施行されました。 これにより、相続人でない親族(例:長男の妻など)であっても、相続において金銭請求ができるようになった点が大きなポイントです。 特別寄与料が認められる要件 被相続人の親族であること(民法第1050条) 被相続人に対して、無償で療養看護その他の労務提供を行っていたこと 相続人との間で協議が成立するか、家庭裁判所の審判で認定されること…

20 5月 2025

停止条件付遺贈とは?相続税申告での取扱いと注意点

目次 1 停止条件付遺贈とは? 2 相続税の申告はどうする? 3 条件が成就したらどうする? 4 受遺者が条件成就前に亡くなった場合 5 実務上の注意点 6 まとめ:専門家への相談が不可欠 こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 「孫が大学に進学したら不動産をあげたい」「特定の条件が満たされたら財産を渡したい」 このような願いを遺言に込めることができるのが「停止条件付遺贈」です。この記事では、停止条件付遺贈の仕組みと、相続税の申告・計算上の注意点をわかりやすく解説します。 1 停止条件付遺贈とは? 遺贈とは、遺言によって財産を譲ることをいいます。相続と違い、受遺者(もらう人)は相続人でなくても構いません。中でも「停止条件付遺贈」とは、「ある条件が成就した場合に限って財産を譲る」という遺贈の形です。 【具体例】…

20 5月 2025

胎児にも相続権がある?

目次 1 胎児の相続権とは?民法第886条の規定 2 胎児がいる場合の遺産分割と実務上の注意点 3 胎児と相続税申告|申告期限と基礎控除の関係 4 胎児が代襲相続人になることもある 5 まとめ|胎児の相続は“出生”がカギ。正確な判断と慎重な対応を こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 「まだ生まれていない子ども=胎児には相続権があるのか?」 胎児にも相続人としての権利が認められるケースがあります。本記事では、胎児の相続権について、実務上の注意点や税務処理も交えながらわかりやすく解説します。   1 民法第886条が定める胎児の相続権とは? 民法には以下のように定められています。 第一項:胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。第二項:前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。 胎児は生まれた場合に限り、相続開始時に「既に生まれていた」とみなされて、相続人として取り扱われます。出生が条件となるため、「停止条件付き相続権」とも呼ばれます。…

19 5月 2025

【相続トラブルを防ぐ】特別受益の持ち戻し免除とは?

目次 1 特別受益とは?~公平な遺産分割のための制度~ 2 持ち戻し免除とは? 3 持ち戻し免除が認められる3つのケース 4 持ち戻し免除の注意点 5 トラブルを避けるための生前対策 こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 相続が発生した際、被相続人が生前に特定の相続人へ財産を贈与していた場合、それは「特別受益」として相続財産に加えて計算されるのが原則です。しかし、被相続人が「その贈与分は相続財産に含めなくてよい」と意思表示していた場合は、この“持ち戻し”を免除することができます。 今回はこの「特別受益の持ち戻し免除」について、制度の概要、注意点、実務上の対策をわかりやすく解説します。 第1章|特別受益とは?~公平な遺産分割のための制度~ 相続人の一部が、被相続人から住宅取得資金や結婚資金などの多額の贈与を受けていた場合、それは**「特別受益」**とされ、相続時に相続財産へ持ち戻して計算するのが原則です。 この制度は、すべての相続人が公平に相続できるようにするために設けられています。 特別受益について > 第2章|持ち戻し免除とは?…

19 5月 2025

【相続トラブルを防ぐ】特別受益とは?知っておきたいポイントを解説

目次 1 特別受益とは?その意味と重要性 2 どんなものが特別受益になる? 4 遺留分との関係と持ち戻し免除 こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 相続の現場では、被相続人から「生前に家を建ててもらった」「結婚資金を援助してもらった」など、特定の相続人だけが利益を得ていたというケースがあります。これが「特別受益」の問題です。 特別受益を正しく理解しておかないと、遺産分割協議が不公平になり、相続トラブル(争族)に発展する恐れもあります。本記事では、特別受益の基礎知識から計算方法、トラブル防止の対策まで、実務経験に基づいて分かりやすく解説します。 1 特別受益とは?その意味と重要性 特別受益とは、法定相続人の中で、被相続人から遺言や生前贈与により「特別な利益」を受けた人がいる場合に、その利益を公平な相続に反映させるための制度です。 例えば、長男だけが住宅購入資金1,000万円を生前に受け取っていた場合、それを考慮せずに相続すると、他の相続人から「不公平だ」と感じられてしまいます。そこで、その1,000万円を一度遺産に「持ち戻す」ことで、相続分を調整します。特別受益は相続税の対象ではないため、この持ち戻しは相続税に影響を与えることは、基本的にありません。あくまで、公平な相続分を計算するための概念です。 2 どんなものが特別受益になる? 以下のような贈与や遺贈が、特別受益に該当する可能性があります。 特別受益となるケース 遺言による相続人への財産の贈与(遺贈) 婚姻・養子縁組のための多額の持参金や支度金…