税務署の申告書控えへの収受日付印が廃止!知っておくべき対応策

2025年5月23日
Posted in コラム
2025年5月23日 管理人

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

2025年(令和7年)1月1日から、税務署に提出した申告書や届出書等の「控え」に収受日付印(いわゆる受付印)を押さない運用が全国で始まりました。

これまで収受印は、提出した事実を証明する“証拠”として多くの場面で活用されてきました。特に紙で提出していた中小企業や個人事業主にとっては、大きな実務的変化です。

本記事では、この制度改正の概要と影響、そして今後の提出記録の取り扱いについて解説します。

リンク 国税庁PDF 申告書等の控えへの収受日付印の押なつの見直しに関するQ&A 


1 どんな変更?収受日付印の押なつが廃止

対象となる書類

国税庁、国税局、税務署に提出するすべての文書が対象です。
申告書、申請書、請求書、届出書など、あらゆる税務文書に影響があります。

実施時期

2025年1月1日以降、全国の税務署で一斉に実施されています。

変更の内容

これまで税務署窓口や郵送で提出した際、控えに押されていた「収受日付印」や「税務署名」が、原則廃止されました。


2 なぜ廃止された?背景にある「デジタル化」

今回の変更は、e-Tax(電子申告)の普及と税務行政の効率化を目的としています。

国税庁は、紙での事務処理を減らし、行政負担・納税者の負担を軽減する方向で制度改革を進めています。今回の収受印廃止もその一環といえます。


3 収受印の代わりになるものは?

 1. e-Taxの受信通知

e-Taxで提出した場合は、メッセージボックスに届く「受信通知(受付通知)」が提出事実の証明となります。

  • ■受付番号

  • ■提出者名

  • ■提出日

これらが記載されており、従来の収受印の代替となるものです。

 2. リーフレットの交付(紙提出者向け)

当面の間、紙で提出した人には、希望により税務署で「リーフレット」が配布されます。

  • ■提出日

  • ■提出先の税務署名(または業務センター名)

が記載されており、提出の証拠書類として利用できます。

※郵送提出時も、切手付き返信用封筒を同封すればリーフレットが返送されます。

収受印リーフレット


4 紙提出の場合の提出証明手段

① 申告書等情報取得サービス(所得税・青色決算書等のみ)

  • ■書面で提出しても、マイナンバーカードがあればe-TaxでPDFを取得可能

  • ■直近3年分が対象

  • ■所得税・青色申告決算書・収支内訳書が対象

② 税務署での閲覧(無料・写真撮影可)

  • ■窓口申請に限る

  • ■申請後その場で閲覧(郵送・オンライン不可)

  • ■写真撮影は可能

③ 保有個人情報の開示請求

  • ■内容確認および写し交付(取得まで約1か月)

  • ■窓口申請(手数料300円)またはe-Tax申請(200円)

  • ※法人の申告書には利用不可

④ 納税証明書の交付

  • ■所得や納税額の証明書は取得可能(提出日確認には不向き)

  • ■税務署窓口(400円/1枚)またはe-Tax(370円)


5 中小企業・個人事業主への影響と対応策

 銀行融資、補助金申請、保育所・奨学金などの収入証明で不便に

提出証明ができないと、「本当に出したのか?」という問題になる恐れがあります。

 必要な対応策

対応内容説明
e-Taxの活用電子提出に移行し、確実な記録管理を行う
リーフレットの保管当面は紙提出でも提出証明が可能
提出記録の整備控えに自分で提出日を記録/写しをスキャンして保管
郵送の工夫簡易書留・特定記録など記録が残る方法で提出

6 e-Taxへの移行を今こそ検討すべき理由

  • ■24時間提出可能

  • ■交通費・郵送費ゼロ

  • ■過去の申告情報の保存・管理が容易

  • ■控えも即時にデータで取得可能

■令和7年以降は電子申告への移行が、ますます現実的な選択肢となります。


7 まとめ 紙提出は証拠保全の工夫が必要。電子化への転換期に

税務署の収受印廃止は、小さな変更のように見えて、実務や証明手段に大きな影響を及ぼす制度改正です。

  • ■申告控えの保管と証明方法の見直し

  • ■電子申告への移行準備

  • ■社内の文書管理ルールの更新

これらを早めに進めることで、今後のトラブルや対応の負担を未然に防ぐことができます。

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飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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