こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。
親御さんが亡くなったとき、深い悲しみの中でも、遺されたご家族には多くの手続きが待ち受けています。葬儀や死亡届、年金や公共料金の手続き、そして相続税申告まで……。
しかも、これらの手続きには期限が定められているものも多く、、「何を・いつまでに」やるかを把握しておくことが大切です。
本記事では、「親が亡くなった後の手続き」について、時系列に沿って文章形式でわかりやすく解説します。
ご自身やご家族の備えとして、ぜひお役立てください。
1 死亡日〜2日以内に必要なこと
死亡当日:まずは医師による確認と診断書の取得
死亡が確認されると、医師が「死亡診断書」を発行します。これは以後の手続きに必要な最重要書類です。コピーを複数枚取っておくと便利です。
同時に、親族・関係者への連絡、葬儀社の手配、ご遺体の搬送(自宅や安置施設へ)、入院費の清算などを並行して進めます。
死亡後2日目:死亡届と火葬許可証の申請
- ■死亡届の提出(死亡を知った日から7日以内)
→ 提出先:本籍地、届出人の住所地、または死亡地の役所 - ■火葬許可証の取得
→ 死亡から24時間以上経過しないと火葬できません。役所で死亡届と同時に手続きします。
葬儀社が代行してくれることも多いですが、通夜・葬儀の準備もこの段階で本格化します。
2 死亡後3日目:葬儀・火葬と火葬証明
この日に葬儀と火葬を行うケースが一般的です。火葬の際は「火葬許可証」が必要です。
火葬終了後、「火葬執行済」の印が押された火葬許可証が返却され、これは後の納骨に必須の書類になります。
万が一紛失しても、5年以内であれば再発行可能です。
また、初七日法要もこの日にまとめて実施することが増えています。
3 5日〜7日目頃:葬儀費用の精算と注意点
葬儀が終わると、葬儀社から請求書が届きます。
領収書は必ず保管しておきましょう。葬祭費の支給申請で必要になります。
4 10日目頃:役所・年金事務所・警察などの公的手続き
この段階では、本格的な各種届出・証明書取得の時期になります。
本籍地の役所で行うこと
■除籍謄本(死亡の記載がある戸籍)の取得
■故人の出生から死亡までの戸籍
■相続人の戸籍(相続関係証明に必要)
住所地の役所で行うこと
■住民票の除票取得
■健康保険・介護保険証の返還
■葬祭費、高額療養費の申請
■国民年金・後期高齢者医療などの資格喪失届
※期限は「10日以内」などが目安ですが、遅れても罰則はありません。
年金事務所で行うこと
■年金受給者死亡届
■未支給年金・遺族年金の請求(条件あり)
警察署で行うこと
運転免許証の返納(死亡診断書コピー持参)
5 2週目(11日〜14日目頃):各種契約の解約・名義変更
故人が契約していたさまざまなサービスの名義変更や解約手続きを行います。
例:
■電気・ガス・水道などの公共料金
■携帯電話・インターネット・サブスク
■クレジットカード
■アカウント(Amazon、Google、Apple等)
■生命保険(死亡保険金:受取人が手続き/医療給付金:相続財産)
手続き期限は明確ではありませんが、請求や解約忘れが発生しないよう、できるだけ早く進めましょう。
6 2週間以降:相続・遺産に関する手続き開始
いよいよ本格的な相続手続きのフェーズです。
相続手続きの主な流れ
■遺言書の有無確認(家庭裁判所の検認が必要な場合も)
■相続人の確定(戸籍取得済であれば可能)
■財産の調査(不動産、預貯金、有価証券、債務など)
■相続方法の決定(単純承認・限定承認・相続放棄)
相続関連の期限
手続き内容 | 期限 |
---|---|
相続放棄・限定承認 | 相続開始を知った日から 3ヶ月以内 |
準確定申告(所得税) | 相続開始を知った日から 4ヶ月以内 |
相続税の申告・納付 | 相続開始から 10ヶ月以内 |
不動産の相続登記 | 原則 3年以内(2024年4月から義務化) |