消費税がかからない取引とは?非課税・不課税取引の具体例

2025年5月12日 管理人

こんにちは。
富士市・富士宮市で税務支援を行っている税理士の飯野明宏です。

通常、商品やサービスの提供には「消費税」がかかりますが、すべての取引が課税対象になるわけではありません

実際には、消費税がかからない取引も数多く存在し、それらは大きく以下の3つに分類されます:

  • 不課税取引

  • 非課税取引

  • 免税取引(※今回は対象外)

この記事では特に、「不課税取引」と「非課税取引」の違いと具体例に絞って、実務に役立つ視点から解説していきます。

グラフを説明する男性


1 「不課税取引」とは?

不課税取引とは、そもそも消費税の課税対象となる「条件」を満たさない取引です。

課税対象となるには、次の4つの要件をすべて満たす必要があります:

  1. 国内取引である

  2. 事業者による取引である

  3. 事業として行われた取引である

  4. 対価を得て行われた資産の譲渡やサービスの提供である

このどれか1つでも欠けると、「不課税」となり、消費税の計算・申告の対象外になります。

✅ 不課税取引の主な具体例

取引内容理由
国外での取引「国内取引」の要件を満たさない
個人が自宅の家具を売る「事業として」ではない
試供品や寄付、補助金の受け取り「対価性」がない
保険金・損害賠償金・出資配当金「譲渡・役務の提供」に該当しない
給与収入者の自家用車の売却「事業者による取引」ではない

2 「非課税取引」とは?

非課税取引とは、消費税の課税対象であるにもかかわらず、法令によって課税しないこととされた取引です。
これは、消費税の性質や社会政策的配慮(医療・福祉・教育等)によるもので、法律で列挙された取引だけが該当します。

✅ 非課税取引の主な具体例

区分非課税となる取引内容
不動産土地の譲渡・貸付(ただし、駐車場は課税)
金融・証券有価証券、預金、利息、外貨両替
支払手段商品券、印紙、プリペイドカード(売買用は課税)
公的サービス住民票、戸籍謄本、行政手数料など
医療・福祉健康保険適用の診療、介護・障害福祉サービス
教育学校教育・授業料など
その他義肢・車椅子など身体障害者用物品、埋葬・火葬料(※葬儀料は課税)

3 非課税・不課税取引の税務処理上の違い

① 不課税取引の特徴

  • 消費税法の適用外のため、申告・集計の必要なし

  • 消費税の売上にも、課税売上割合の計算にも 含まれない

② 非課税取引の特徴

  • 消費税法上の「売上」には含まれる

  • 課税売上割合の計算で「分母」には含まれるが、「分子」には含まれない

  • 非課税売上に対応する仕入れには、仕入税額控除ができない

課税売上割合について >


4 実務上よくある混同と注意点

「補助金を受け取ったが、請求書に消費税を記載していいのか?」
補助金=対価性がない=不課税。消費税を加算してはいけません。

「商品券の販売は非課税?課税?」
使用するための販売は非課税ですが、転売・仕入れ用として販売している場合は課税対象になります。

このように、取引内容によって課税の有無は微妙に変わるため、実務での確認は慎重に行う必要があります

 


5 判断に迷うときは税理士にご相談を

不課税・非課税の誤認によって、

  • 消費税の過大納付

  • 仕入税額控除の誤適用

  • 売上区分の計上ミス

といったトラブルが発生することもあります。

特に、補助金、行政手数料、金融取引、不動産賃貸、医療福祉関係のサービスを扱う方は、判断が複雑になりがちです。


まとめ「課税されない取引」の正確な理解を

  • 不課税取引:そもそも課税対象外。税の集計から除外。

  • 非課税取引:法律で非課税とされている取引。集計上は売上に含まれる。

  • 非課税売上が多い事業者は、仕入控除制限に注意

  • 実際の取引判断は複雑なため、専門家のチェックが安心

コラム最下署名

飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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