富士市・富士宮市の事業者が知るべき適用要件とメリット
こんにちは。
富士市・富士宮市の税理士、飯野明宏です。
消費税の納税義務がある事業者の皆様にとって、意外と迷うのが「どの計算方法で消費税を計算するか?」という点です。
実は、消費税の計算には「本則課税(一般課税)」と「簡易課税制度」という2つの方法があります。
この記事では、中小企業や個人事業主の方にとって、事務負担を大きく軽減できる「簡易課税制度」について詳しく解説します。
1 簡易課税制度とは?
簡易課税制度とは、売上に一定の「みなし仕入率」を乗じて仕入税額控除額を計算する特例制度です。
通常の本則課税では、実際の仕入や経費にかかる消費税を1件ずつ集計しますが、簡易課税ではその必要がなく、計算がシンプルになるのが特徴です。
✅ 仕組みのイメージ
2 簡易課税の適用要件
簡易課税制度を利用するには、次の2つの条件を満たす必要があります。
条件 | 内容 |
---|---|
① 売上高の要件 | 基準期間(前々年)の課税売上高が5,000万円以下であること |
② 届出書の提出 | 「消費税簡易課税制度選択届出書」を、適用する課税期間の開始日前日までに税務署へ提出 |
補足ポイント:
一度選択すると2年間は変更できません(原則)。
届出を出していないと簡易課税は使えません。
3 事業区分と「みなし仕入率」
簡易課税制度のキモは、事業の種類に応じた「みなし仕入率」です。
売上にこの率を掛けて仕入控除相当額を算出します。
事業区分 | 内容 | みなし仕入率 |
---|---|---|
第1種 | 卸売業 | 90% |
第2種 | 小売業 | 80% |
第3種 | 製造業、建設業など | 70% |
第4種 | 飲食業、サービス業の一部 | 60% |
第5種 | サービス業(自由業含む)等 | 50% |
第6種 | 不動産業 | 40% |
❗ 事業が複数ある場合
複数の事業にまたがる場合は、各区分の売上割合で加重平均してみなし仕入率を出します。
ただし、特定事業が全体の75%以上を占める場合は、その区分1本で計算可能な特例があります。
4 簡易課税制度のメリットと注意点
✅ メリット
帳簿・請求書の管理が簡単になる(仕入控除の明細が不要)
税務処理の負担が軽い
比較的予測しやすい税額計算
⚠ 注意点
実際の仕入控除額が多い場合は不利になることもある
本則課税よりも納税額が多くなる可能性がある
2年間は原則としてやめられない
5 簡易課税を選ぶべきか?判断のポイント
簡易課税は便利な制度ですが、誰にとっても有利とは限りません。
以下のようなケースでは慎重な判断が必要です。